クロッキー会への参加──動きの中で、線をつかむ。「ムービングクロッキー」《Mode Croquis》

2026年9月13日。少しだけ曇っている日曜日。
佐上さん主催の「小さなクロッキー会」に、今回もまたお邪魔させていただきました。
今回は、モデルにダンサーの方を招いての「ムービングクロッキー」でした。
クロッキーはもう何年も描いてきていますが、実はムービングクロッキーを本格的に描くのは今回が初めて。
初めてですが、無論「モードクロッキー」としてのエッセンスを、ふんだんに入れつつ描くことに変わりはありません。
さてさて、いったいどんな感じになるのか。
非常に楽しみで、わくわくしながら参加させていただきました。 「江之子島文化芸術創造センター」は古い建物ですが、それゆえに味があり、いつ来てもここはアートの匂いがします。 (内部はリノベーションされ綺麗に整えられています。)
地下にはカフェや雑貨・Book Shopが併設され、ゆったりした時間も楽しめる創りが、事務所ビルっぽくなくて、良い雰囲気を醸し出しています。


■クロッキーの時間:ムービングクロッキー
今回は、音楽に合わせダンスをするとのことで、通常の部屋ではなく、スタジオでした。

時間になると、プロダンサーの方によるダンスが、まずはゆっくりと始まりました。
音楽に合わせて、ダンサーの方が体を動かしていきます。
予想していた通りですが、ポーズが止まらないので、形をデッサンするというのはとても難しかったです。
それを見越してのゆっくりな動きですが、それでも形を追うのは難しいです。
まず、3分ほどの短い時間から始まりました。
さすがプロの方、動きが優雅です。手足の先まで神経が行き届いた動きでした。


そのまま同じ時間で何ターンか動いてもらい、少し休憩。
休憩中は、描いたクロッキーを見返してみたり、お互いに見せ合ったり。特に、今回は画用紙を大量に使いました。
再開後、もう少し時間を延ばし、同じように動きの中で描いていきました。
今度は途中で数秒、少し止まってもらったりしながら。
普段はもっと早く踊るようなので、ゆっくりはしんどいと思うのですが、その辺はやはりプロですね。
そしてまた少し休憩し、その間に自分のクロッキーを見返したりしつつ、考えてみたりしました。
そしてまた音楽に合わせて踊ってもらいましたが、手が慣れてきていることもあり、今度はダンサーの方の踊りやすいスピードで。
かなり早いので、もう形のデッサンをしっかりしている暇はありませんでした。

また、今回の音楽は、途中にアコースティックギターとウクレレの二重奏による生演奏でのダンスパートもあり、「とても贅沢だ」と思いながら、クロッキーしました。
生の演奏は、臨場感が全然違いますね。
ムービングが終わった後は、時間の許す限り、今回の参加者同士でクロッキー。
最後は、合評会。
皆さんのクロッキーをそれぞれ見て回り、お互いに気づいた点など話したりしつつ終了となりました。
■ 動きと線
今回、本格的にムービングクロッキーをしましたが、通常のクロッキー(デッサン)のように「形」を取るのをメインに置くと、当然とても難しいです。
一方で、身体の動き、流れを全体の中で見るのはとても分かりやすい。線も滑らかになりやすいです。
これは、いつもクロッキーで最も心掛けている「ライブ感のある線」をつかむことに大いにつながります。
「点と点を繋ぐのではなく、全てはつながっている」ことを実感しながら描く感覚。
これらを実感するのには、最適な方法だと思いました。
常に気を付けていることではありますが、再認識できた時間でした。
この感覚が無ければ、生き生きしたクロッキーは描けません。

また、直接的ではなくとも、今回の「生演奏」も、線の抑揚を生むのに寄与してくれていると思います。
これは、たぶんではなく、確実にそうです。 なぜ言い切れるかというと、「テンション」は、線タッチにダイレクトに響くからです。
気持ちが高揚し、ここに居ること、描いていることに、幸せを感じたり、嬉しくなったりすると、内面だけでなく外面の行動に影響が出るのは、これは絵を描かない人でも想像に難くない話のはずです。
念のためですが、これは何もポジティブだから良いとか、ネガティブだから悪いというような話ではなく、「テンション」はアウトプットに影響するというごく当たり前の話です。
ただ、今回のような恩恵を受けるためには、あまりにまじめに「デッサンするぞ!」と意気込んでいると、受けられる恩恵は薄いと思います。
少しの余裕と、緊張感。
この少しの余裕が、「ああ気持ちいいな」という感情を自然と生むと思うのです。
こういう気持ちは、アナログ画材では特に反映されやすい。
だから、その衝動を消さないために「消しゴム」を使うのは少し考える必要があると思うのです。
これらの考え方はクロッキーそのものを「練習」と捉えているのか「作品」と捉えているのかで大きく違ってきます。
もちろん私は、後者で、モードクロッキーとしてクロッキーを「作品」と位置づけ、Modismからの想いをしっかり残したいと常に思っています。
この辺りのことは、『note | 別冊04:クロッキーの意味……「クロッキー」とは?』でも、深掘りしています。
■「ムービングクロッキー」の良さ
反面、形をしっかり取ることはできませんが、途中で一瞬止まってもらったり、最後に通常通りポーズをとってもらったクロッキーを描くと、かなりのスピードで描けることに気づきます。
通常のクロッキーを行うと、時間の流れが遅く感じるのです。
これは、動きの中で描いたことで手と目が慣れることで、流れを伴った滑らかな線を保ちながら、形をとるのもいつもよりスムーズにできるようになる効果があるのではないかと思います。
通常クロッキーにはない、ムービングならではの良い効果です。
これは「モノを観る目の動きと、描いている手の動き」が「連動」するという感覚です。
そこには、あまり余計な考えを挟んでいる余地はありません。
調子が良いときはこの感覚になり、理想的なのですが、ムービングクロッキーはこの状態に、割と強制的に持っていける一つの方法だと思います。
ですから、例えば、クロッキーを描いてもなかなか調子が出ない時の、ウォーミングアップなどにも、良い効果があるのではないかと思います。
最後に掲載しているこのクロッキーも、多分、1分かかっていないと思います。(はっきり覚えていないですが...)
「短時間で描くこと」自体が良いというよりも、本質は、「描きたい」と思った気持ちや感覚を「瞬間的」に捉えることが大事なことで、それが結果的に「短時間」に繋がっているだけだと思うのです。
この辺りの「因果関係」はいくら頭で考えて、理論的には分かっても実感するには、実際描いてみるしかありません。 それがムービング
クロッキーでは「実感」しやすい(かもしれない)というのが、大きな収穫でした。
やっぱり、クロッキーって面白いですね!
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